第一回目の記念すべき生き方インタビューは、沖縄国際大学でアラブ文化を教えているイブラヒム・エルサムニーさんです。
エジプト代表に選ばれたこともある元サッカー選手のイブラヒム・エルサムニーさんが語る「人は、誰もが平等に人生税を払っている。」
その意味は?
忙しさにまぎれ忘れてしまっている一番大切な考え方を学ぶことができます。
どういう経緯で沖縄に来ることになったのですか?
22歳の時にエジプトでサッカーのA代表候補に選出されましたが、エジプトリーグの試合で大怪我をしてしまい引退することになりました。
人生の全てをサッカーに注いでいた私にとって凄くショックな出来事でした。
サッカーを続ける事ができないならば、エジプトにいる理由がないと考え、ヨーロッパへ行こうと思っていました。
そんな時、東京外国語大学でアラビア語を教えていた父へ手紙を出しました。
エジプトを出るなら日本に来いとの父の言葉に後押しされ来日。
父親の友人の紹介で貿易会社の社長に出会い、英語の通じる沖縄支店で働くために、1976年に沖縄へ来ました。
沖縄に何年住んでいますか?
24歳から沖縄に住んで41年経ちました。
沖縄へ 来て半年後、一度東京に戻ったのですが、沖縄へ帰り沖縄支店で10年間働きました。
沖縄へ戻った理由は、今でもよく分かりませんが、“沖縄の人の温かさ ”を感じたからでしょうね。
エルサムニーさんの大切にしている事は何ですか?
- 人の文化や価値観を尊重する。
人間は、国籍も文化も考え方もみんな違うので、相手の良いところを見つけて吸収しています。
- 相手の立場になって考える。
自分が相手の立場になったらどうするのか?と客観視しています。
- 人間は皆平等。
人間は肌の色、宗教に関係なく皆平等であることを、常に肝に命じています。
日本人に足りないものはなんだと思いますか?
信じるものがないので、困ったときに頼るものがないことです。
自殺が多いことも、信じるものがないために何者にも頼れないことが要因の一つです。
宗教じゃなくても、信頼できる頼れる人を見つけて欲しいと思います。
幸せに生きるヒントを教えてください。
相手の持っているものを見て妬む人は幸せになれません。
自分の与えてもらった物に目を向けて満足することが大事です。
人は皆100%平等に与えられています。
100%平等に与えられているとはどういうことですか?
世の中はバランスが取れるようになっています。
あなたの持っていないものを誰かが持っていて、あなたの持っているものを持っていない人もいます。
例えばですが、持っているものが100%あるとして、内訳を決めます。(以下表参照)
Aさんにある健康が、Bさんにありません。
しかし、Bさんにはお金があるので、そのお金を使って医療費を払うことができます。
違う見方をすれば、Aさんには健康を与え、Bさんにはお金を与えたと考えることができます。
ここで大事なのは、自分にないお金にだけに目を向けて、不満を感じてしまうことです。
そうではなく、自分にある健康に目を向けて満足することです。
私はこの考え方を“人生税”と名付けました。
人生税について詳しく教えてもらえますか?
これは実際にあったことですが、デパートで商品を販売していつもより売り上げがあり私はすごく喜んで家に帰りました。
しかし、家に帰ると子供が体調不良で病院へ直行。
いつもより多くあった売り上げは、最終的に病院へ支払いました。
この病院に支払ったお金が私の考える“人生税”です。
売り上げが多くなければ病院代を払えなかったので、先に与えてもらって払えたのです。
全てはバランスが取れているので、いいことがあると悪いこともあります。
お金があっても健康がなければ幸せではありません。
人は悪いところしか見えないので、お金がないことをマイナスと考えその代わりに与えて、もらっている健康に気づくことができません。
健康という恵みを思い出すのは、病気になった時だけです。
人生を生きていく中で、私たちは人生税を払っています。
先に人生税を貰うか先に払うかの違いで、払った分は戻ってくるし、貰った分は支払います。
みんな平等です。
平等なのに人によって満足度が異なるのは、自分のいい所を見て満足するのか、他人のいい所を見て妬むのかの違いです。
まとめ
今回は、エルサムニーさんに心が満たされる生き方について、考え方を教えてもらいました。
いかがでしたか?
異国で暮らしてきたからこそ大切にしている以下3つのことを同じ異国に暮らす私も大切にしていきたいと改めて実感しました。
- 人の文化や価値観を尊重する。
- 相手の立場になって考える。
- 人間は皆平等。
あなたは、今与えられているものに満足した人生を生きていますか?
抜群の歌唱力を持つイブラヒム・エルサムニーさん